2006年12月29日

関空にダイバード (2006.9-10 父一人旅アジア周遊48)



旅行の途中だが、一度日本に帰らなければならない。次女の運動会があるのだ。父親たるもの、娘の運動会にビデオカメラを持って参観しない訳にはいかない。

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関空にダイバード
(2006.9-10 父一人旅アジア周遊48)



旅行の途中だが、一度日本に帰らなければならない。次女の運動会があるのだ。父親たるもの、娘の運動会にビデオカメラを持って参観しない訳にはいかない。


米系のアジア路線東京行きは、大抵早朝に出発する。
そして午後成田に到着し、メインランドに向かう。少なくともユナイテッド航空とノースウェスト航空については、成田はまだアジアのハブ空港の地位を失っていない。




私は朝の2時半に起きてシャワーを浴び、4時にはバンコク・スワンナープ空港に到着、6時発のノースウェスト便に搭乗した。飛行予定時間は5時間20分とのこと。早起きというには早すぎる時間に起きた私は、朝食のあと映画を見ながら眠り込んだ。



気がついたらバンコク時間で正午、日本時間の午後2時になろうとしていたが、飛行機はまだ水平飛行をしている。どうやら台風の影響で成田のタワーが着陸許可を出せないらしい。飛行機は風が収まるのを成田上空で旋回しながら待つ。

2時間程待ったが風は収まらないようだ。
機長の「飛行機を一度関空に着陸させる」とアナウンスがある。いつまでも水平飛行を続けていては最悪燃料切れになってしまうからだ。このように目的地以外の空港に一時着陸することをダイバードと言う

本当なら中部国際空港の方が近いのだが、既に他社便のダイバードでいっぱいだったらしい。5時間20分が予定時間だった飛行機は、およそ8時間後に関西国際空港に着陸した。台風が原因ではどうしようもない。



国際線の場合、予定していた空港以外で入国できることはまずない。入国管理の観点から当然と言えば当然だ。乗客は機内で成田の風が収まるのを待つ。

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待ちくたびれた。

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この機材にはADODシステムが搭載されている。乗客はそれぞれ自分のペースで好みの映画を見ることができるが、さすがに4本も続けて見ると辛くなってくる。

機内では一回だけアンパンのような物が配られた。それだけだ。夜の8時頃ひもじくてギャレーに行き「何か食べ物を下さい」と泣いたら、到着前のスナックに出た七面鳥のサンドイッチをもらえたが、「全員分はないので、ここで食べていってね」と言われる。なるほどなぁ、だ。

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夜9時少し前、ドアが開いた。実に18時間機内にいたことになる。

どうやら今日成田に到着することは不可能だと判断したらしい。機長が「乗客の皆さんには交通手段と宿泊を提供します」とアナウンスする。これをちゃんと聞いていたことが、後々大きな助けになるとは、この時には思わなかった。



飛行機から脱出することは出来たが、みんなどうして良いのか分からない。ゲート前は混乱している。

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しばらく空気を読みながら待っていると、地上職員のアナウンスがあった。東京が最終目的地だった乗客は「下のカウンター」に行っても良い、アメリカが最終目的地の乗客はこのままゲートで待機して欲しい、とのことだ。「下のカウンター」がどこなのか良く飲み込めないが、質問などできる状其ではない。東京が最終目的地だった私は言われるまま「下」に降りた。

が、どうも「下」は入国エリアらしい。
私は関空で入国するのは初めてだ。途中イミグレのブースがあったので、入国審査官に「ノースの乗客は入国するんですか?」と訊ねたが、「そうみたいですね」とあやふやな答が返ってきた。よく分からない。



入国後、到着フロアのカウンターには、既にかなりの人数が集まっていた。大声で騒いでいる団体もいる。

「きちんと説明しろよ!」
「あんたじゃ話にならないんだから、上の人を呼びなさいよ!」


素晴らしく殺伐としている。




地上職員も対応に苦慮している。

公式なアナウンスは、「2万円までノースウェストが負担するので、このまま各自他の交通手段で目的地に向かって欲しい」というものだった。

しかし、もう時間は夜の10時だ。帰れと言われても帰れない。ほとんどの乗客は宿泊する必要があるはずだが、運の悪いことに今日は3連休の初日、ホテルを確保するのも大変だと思われる。

どうしたら帰れるのかという質問に、職員の一人が「例えば夜行バスで」とうっかり行ったものだから、また逆上して叫んだ乗客がいた。

「うるさい。もうタクシーで東京まで帰るからな!」

タクシーより夜行バスの方が楽なのではないだろうか?




周囲の様子を窺う。どうも職員の会話を聞くと、ホテルの手配に苦慮しているようだ。苦慮しているということは、その意志がある、ということに違いない。ここで脳裏に、さっきのターキーサンドイッチが頭に浮かんだ。「全員分はないので、ここで食べていってね…


忙しそうに動いている地上職員の一人を捕まえて話しかける。カウンターの端で、やや小声で、だ。

「すみません。機内で機長さんが宿泊施設と交通手段を提供するとアナウンスしたので出てきたのですが、ホテルはいただけますか?」

すると職員は一覧表のような物をとりだし「こちらにお名前をどうぞ」と言う。宿泊者名簿だ。ホテルはあるのだ。ただ全員分が直ちに提供できないだけで。私はそのリストに自分の名前を書き、指示されたバス乗り場に向かった。落ち着いて観察すると、騒然とした中でも私と同じ動きをする人たちが少しいるのが分かる。

怒鳴って騒いでいる人たちは、怒鳴ることが仕事になっているようだ。その度に、地上職員から謝罪や説明を受け、それで多少のガス抜きをしているのだろう。おかげで、地上職員の一人がその手の人たちの対応に追われる。はっきり言って迷惑な人たちだ。一晩ここで怒鳴っていれば良いと思う。

本来、天候によるスケジュールの変更とそれに伴う費用の発生について、航空会社は責任を負わない。天候が理由で成田に着けなかったのはノースウェストのせいではないのだ。本来ならホテル代や交通費を支払う義務はない。機材のトラブルなどとは事情が違う。身も蓋もなく言ってしまえば、航空会社は乗客をゲートの横でいつまでも待たせておいても良いのだ。

しかしノースウェストにとって日本は重要な市場だ。また、こういう時の対応が航空会社の「サービス」として評価されることもある。3連休の初日でどこのホテルもいっぱいな中、かなり無理をして可能な限りの対応をしていた。これ以上ない、といっても良いほどだ。





指定されたバス停には「ノースウェスト航空」とサインを出した観光バスが停まっていて、やがて私同様リストに名前を書いた乗客40人ほどを乗せて関空を出発した。そして約1時間後到着したのが、大阪南港にあるハイアットだった。23階のツインをシングルユースする。私が今回の旅行で泊まってきたどの宿より、この部屋のバスルーム*だけ*の方が大きい。

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朝起きるとメッセージランプが点灯している。どうやら朝食のバウチャーがポストされたらしい。ありがたくごちそうになる。この食事の価格は私が泊まってきた宿代の5泊分ほどだ。

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さて、今日は二つの選択肢がある。
航空会社が後日負担する2万円(上限)で自宅に帰るか、空港に戻るかだ。私は一度入国した後に空港に戻るという選択肢があることに驚き、そちらを選んだ。もちろんハイアットから関空までの電車代は後日請求する。


関空のカウンターに行くと、午後1時に成田行きの便が飛び、国内線部分だけでも乗ることができるように手配をしたのだそうだ。得難い経験だ。わくわくしながらチェックインしていると、その間に出発時間が2時間伸びた。

「ミールクーポンはいただけますか?」

私はいただいた1000円分のクーポンで、お好み焼きの昼食をとった。



チェックイン時に「国内区間搭乗票」という3枚組の書式を受け取る。初めて見る書式だ。ダイバードで目的地以外の空港で入国できること以上に例外的な措置なのだそうだ。

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エレクトリックバードを見ると、確かに関空発成田行きの案内が出ている。表示できるものなんだなぁ。

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ためしに免税品は買えるかとタバコのカートンをレジに運んでみたが、この搭乗券では購入できない、という返事が返ってきた。朝のミーティングなどで周知徹底されているようで、大変にきちんとしている。これが法律というものなのだな。


成田行きのノースウェスト6便は、何事もなかったかのようにゲートを離れ離陸した。
近くにはやり東京に向かう乗客が話しかけてきた。

「昨日は大変でしたね。」

まぁ大変と言えば大変なのだが、台風相手では仕方ないし遜分なサービスも受けたと思う。と言おうとしたら、意外な言葉が返ってきた。

「とにかく成田についたら、すぐに家に帰ってシャワーを浴びてビールでも飲みますよ(笑)」


え、シャワー浴びてないの? ビール飲めなかったの??


話を聞いたところ、どうもこの方は、アメリカ行きの人たちと一緒にゲート脇のベンチで夜明かしをしたらしい。しかもその間全く飲食などの提供はなかったとのこと。

「そ、そうですね…、大変でした」

ハイアットのツインをシングルユースしたとは間違っても言えなかった…。




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